おいしい時間 しあわせのカタチ

「それならなおさら飲み物が欲しいわ。コーヒーでいい? インスタントだけど」

「大好き」


 でも意外、と右手にコーヒーカップ、左手にエクレアを持ちながら佳織さんはしげしげと佐希子を見つめた。


「なにが意外?」

「佐希子さんがインスタントコーヒーを飲んでること」

「もう久しくドリップなんてしてませんよ。淹れ立てはたしかに美味しいけど、一人暮らしだとすぐに豆が酸化しちゃって」

「ああ、そうですね」

「それより、わたしになにか話でもありました?」


 切り出す糸口を掴みかねたかと、さりげなく水を向ける。

 佳織は迷うような手つきでスマホを取り出した。

 そして、待たせると言うほどもない時間で操作して、これなんですけど、とスマホを差し出した。


「見ていいんですか?」


 佳織さんがこくこくと頷いたので受け取ると、そこには、色気も面白さも微塵もない、ついでに言うと改行さえない、殺風景な三行足らずのメールが横たわっていた。


「これって、遠距離恋愛中の彼氏さんからの?」

 
 佳織さんは憤りとも諦念ともつかぬ感情を眉間にあつめながら頷いた。

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