おいしい時間 しあわせのカタチ
やや強引に席を勧めると、早速ワイン用のグラスを掲げてみせる。
社長には悪いが、ふたりが間に入ることで、いくらか二組の間を行き来する視線の妨げになればいいと願った。
「いやいや遅くなっちゃって悪かったね。蒲谷くんとこに四人目が生まれたっていうもんだからさ」
「ええっ、そうなんですか。おめでとうございます。四人目? すごい! やりましたね」
「そりゃあめでたい。でもそれじゃああれかい、三人目とはひょっとして年子?」
ゴンさんが思案混じりに訊ねると、
「はい」とやや照れくさそうに蒲谷さんは頷き、「いやぁ、予定日より一ヶ月も早かったんで電話が来たときは焦りましたが、ありがたいことに母子とも大事なく」
「そうですか、それはよかった。なら今は赤ちゃんを見てきた帰り? え、ひょっとして社長も?」
「もちろんだ。もう病院は面会時間を過ぎてたんだけどな、特別に入れてもらった」
「いやあの、着いてきてくださいって僕が頼んだんです。あそこの婦長さん、一人目からお世話になってるんで顔なじみなんですけど、未だにちょっと苦手で……」
「おっかねぇ顔してるもんな」
「しゃ、社長……! なにも僕はそこまで言ってるわけじゃ……」
「ふふふ。まぁいいじゃないですか。おめでたいときにはとりあえず乾杯でしょう? 蒲谷さんもワインでいいですか?」
「あ、いや僕は」