おいしい時間 しあわせのカタチ
「……悪かったよ。俺も帰り道、あいつらに羽目外し過ぎだって言っておいた。ほんと、ごめん。……メシ、すげぇ美味かったよ。料理であんなに興奮したの、ほんと、いつぶりかな。それなのに、店を出るとき、俺、酔っててろくな挨拶できなかった。だから悪いけど、おまえのボスにくれぐれもよろしく言っといてくれ。じゃあ――」
また、と言おうかどうか迷っている間に留守録の時間が終わってしまった。
耳元に響く無機質な機械音が、無情に大上を突き放す。
(俺、やっぱ根岸に嫌われてんのかなぁ……)
高校の頃からなんとなく、折に触れてそう思うことはあった。
けれど、ここまではっきり疎んじられていると確信し、不安になったのははじめてだった。
昨夜のうちに届いていた根岸からのメールを確認したのは今朝、飯とも呼べない飯を胃袋に押しこんでいるときだ。
『さっきのあの態度、なんなんだ? 高校生の前であんなこと言って、写真まで撮ろうとして、恥ずかしくないのか。わきまえろよ。こんなこと言いたくないけど、またあんな振る舞いされたらこっちだってたまったもんじゃない。店のイメージに関わるし、女将さんにも申し訳が立たないから、二度とうちへは来ないでくれ』