おいしい時間 しあわせのカタチ

 いつもの調子でメールをながら見しているときのそれだったから、衝撃の度合いも凄かった。


(二度と来ないで、か)


 店や女将さんの体面を気にしているのはおそらく、もちろんそれもあるのだろうけど、半分は言い訳だろう。

 本音はただ、俺に、個人的に来店して欲しくないんだ。顔を見たくないから。


(……久しぶりに会えて舞い上がってたのは俺だけだったんだな)


 もう、高校んときとはちがうんだ。

 あいつにはあいつの居場所がいる、仲間がいる。あの頃みたいに、つるむために必要なダチなんて、もういなくたっていいんだ。


(いや、別に喜んでたのは、昔みたいに遊びたかったからだけじゃないんだけど……)


 しかしあんなメールを見てしまってはもう、根岸は滅多なことがない限り俺を顧みようとはしないだろう。

 大上はコンビニの駐車場に車を滑り込ませると、エンジンを止めた。


(ここもよし、と――) 


 いずれの店も首尾は上々、根回しも済んでいる。あとは発売日を待つのみとなった。


(ケーキの感想は完全にスルーされちゃったけど、食べてもらえたかな)

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