おいしい時間 しあわせのカタチ
テーブルに着き、さしたる間を置かずに運ばれてきた紅茶とケーキに目を輝かせていると、ほどなくして大上さん本人が現れた。
揺るぎない美貌と、スマートで隙のない佇まいが、店内にいるあらゆる世代の女子の注目を集めている。
「こんにちは。先にいただいていました。まぁ、お座りになって」
「先日はどうも。佐希子さんもご一緒だったんですね」
「いけなかったか?」
いきなり喧嘩腰はやめてよ。佐希子はティーカップに口をつけたまま唇を突き出す。
「そういう意味で言ったんじゃねぇよ。――コーヒーお願い」
近づいてきた店員さんに慣れた口調でオーダーして、大上さんは、はぁ、と息をつきながら腰かける。
「嫌なやつだな、人前でため息なんかよせ」
「まあまあいいじゃない。お仕事、お忙しいんですか?」
「ええ、まあ。一昨日発売になったばかりのケーキがありがたいことに評判で、それでなかなか手が離せなくて」
「あらまあ。それって前にいただいたケーキのことかしら。あれ、とっても美味しかったわ。さっきそこのショーケースでも探したんだけどなくって」
「ここでは多分出してないんじゃないかな。なんなら今からでも後輩をコンビニに向かわせますよ」
「いいのいいの、このケーキもとっても美味しいから」
皿ごと持ち上げてケーキを示せば、そうですか、と大上さんも嬉しそうだ。