双姫 Ⅱ
その人影を見た瞬間、
途轍もない恐怖に駆られた。
それはこんな身体だからなのか。
それとも純粋に怖いと感じているのか。
『双姫』としての自分が恋しくなった。
早く、早く取り戻さなきゃ……。
このどうしようもない不安感を取り除きたい。
近々、紘にぃ達と組手をしようと決めた。
それから長い時間バイクを走らせ続け、
着いた場所は海。
今日は海に行く予定だったから。
「おっしゃー!夏と言えば海だよなぁ!!!」
「でも、人がいっぱい居るねぇ~。」
「それが海ですからね。」
バイクから降り、海に興奮する皆。
でも、私だけそんな気分じゃなかった…。
「皆、先に行ってて。」
「…おう、ちゃんと来いよ?」
玲達は私達を気にしながらも海へ向かった。