双姫 Ⅱ


「お前は…!
神崎さんを誘惑した樺沢 類!!」


誘惑された覚えないんですけど…。


「勘違いするな。
お前は元から朱音と無関係だった。」


確かに無関係。
会ったのもあのパーティー会場が初めて。
それに名前さえ知らないんだから。

病院の理事長って事しか(笑)


「おい!殺せと命令した筈だ!!
何故まだ生きている…?
お前は遂行したと言ったではないか!」


「どういう事だ?」


類は困惑の表情で翠を見ている。


「…別に。
コイツらを守りたいと思っただけだ。」


「何を馬鹿な事を!
依頼主の命令を聞けないと言うのか!?」


そう言って取り出したのは
黄色い粉が入っている小瓶。


『あれは…?』


「これは黄リン。
空気に触れると爆発を起こす薬品です。

神崎さん…。
どうしてもその男と行くのなら
ここで一緒に死にましょう。」


「最後まで救いようのない馬鹿だッ!」


『翠ッ!』


蓋を開けようとする男に翠が駆け寄り、


ドゴッ!


顔面を殴った。


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