あいつの恋
――ドンッ
「いった~…」
私がそう言ってる間に雄馬は立ち上がって、
「ほれっ」
と私に向かって手を伸ばしていた。
「あっ、ありがと」
私はその手を握ってゆっくり立ち上がった。
汗ばんだ手。
でも嬉しかった。
「大丈夫やった?ごめんな!」
「俺なんかどうでもええねん!お前は大丈夫か?」
何かその時、雄馬がいつもの雄馬じゃなくて
めっちゃかっこよく見えた。
「おいっ?大丈夫か?脳でもやられたか?」
雄馬はヘラヘラ笑っている。
ふと気付いた…
手を繋いだまま。
私が繋がってる手を見たのに
気付いたのか、ごめんごめん。
と誤りながら手を離した。
もっと繋いどきたかった…
そんな気がした。