奇聞録(冬)二巡目
トナカイの艝が来る。
鈴を鳴らして、楽しそうに。
女の子だと解らないように、頭を靴下で隠さないといけない。
彼はこの家に来る時、
前の子供の体を
代わりに置いていく。
男の子は頭を取られない。
彼の悪戯だけ。
彼はまずこう言う
「メリークリスマス。よい子は居るかな。」
彼の服は血のように赤い。
白い雪に、赤い服。
大きな布の袋。
彼は昨年の冬、
とある家で罠に掛かった。
それから暫く経って、
私はサンタクロースを信じなくなれた。