夜の職場の君のミス
「でさ、ご機嫌で『おはようごさいます!』なんて言ってドアを開けたら、今日に限ってズレてたんだよね」
そこでバッと彼の方へと顔を向けると、私の予想通り頬を引き釣らせた彼が目に飛び込んだ。
「ズレてたって、……あれだよな?」
「そう。イチ君が一番知ってると思うけど、あれが」
「うっわぁ」
さっきより更に顔を引き釣らせ、そう声を漏らすのは彼があの事をよく知ってるからだと思う。
「皆痛々しそうに目を逸らしてた」
朝から何だこの空気は!?っていう位、部屋の空気が張り詰めていたのを思い出す。
「まっ、……だろうな。で、金木はどうしたんだよ?」
どうした?……か。
どうしたも、こうしたも、やっちまったのだ。
「私は、……ご機嫌だったせいか、満面の笑みで課長の前に行って言ってしまったさ」
「えっ!?言ったの、お前!?」
「うん。言った」
言ってしまったんだよ、私は。ついつい。
口からポロッと。
「『課長、どうしたんですか今日は。ズラがいい感じにズレてますよ!』って」
「う、……うわぁ…」
引き釣っていた顔を今度は思い切り歪める彼。
いや、まあ。そういう反応ですよね。
でもさ、でもさ。
「その結果の今っていう。ほんと課長、心狭過ぎ」
「いやぁ、それは金木も悪いと思うけど」
本当はここで同意して欲しかったのに、そう簡単には同意の言葉を言ってくれないのがイチ君だ。