夜の職場の君のミス
そう分かっていても、唇を尖らせジト目を向け、
「イチ君は課長の味方なわけ?」
そう訊く私はどうにかして彼の口から同意の言葉を捻り出したいのかもしれない。
でも、結局彼はつれないのも知ってる。
「別に味方って事もねぇけど、アイツも色々あんだよ」
「ふーん。色々ねぇ」
「色々だよ」
課長の事もよく知っているからこそのその言葉。だからこそ、彼が私よりもずっと歳上だと再認識してしまう。
「まっ、コーヒーでも飲みながらゆっくりやれよ」
再び優しい声音で紡がれたその言葉に苦笑して「そうする」と答えると、一先ずデスクの上のパソコンの電源ボタンを押す。
そして立ち上げまでの時間を有効活用するべく、給湯室へとコーヒーを淹れに行った。
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カチカチとキーボードを叩く音が部屋に響く。
資料室の小さな窓に目を向ければ、真っ暗の空にちらちらと光る星が見える。
思いの外、作業に時間が掛かっている事に思わずため息が漏れた。
そんな私を隣に座り、デスクに頬杖をついて見ている彼のふっという笑い声が聞こえる。
これって確実に、……どんくさいって思われてるよね。
なんか、……ムカつく!
苛立ちからぷうっと頬を膨らませるも、今は仕事中。しかも、サービス残業というお金の発生しないもの。
兎に角それを早く終わらせるのが最優先だと思うと、苛立つ気持ちをリセットする為に伸びでもしようかと、椅子から立ち上がろうとした。
その瞬間、自分の肘がコンッと硬い物にぶつかる。
「へ?」
何の音かと思いデスクの上へ目を向けると、一気に顔が青ざめた。