夜の職場の君のミス
「金木」
「は、はい」
ぼけっと彼を見つめていたからか、名前を呼ばれた事にビクッと肩が揺れた。
なのに、そんな私をまた馬鹿にした様にふっと笑うと、熱の篭った目を向け艶美な声を出す。
「金木のせいで汚れたんだから、これ脱がしてよ」
「わ、私が!?」
「当たり前だろ」
そりゃ、私が汚したんだから私が脱がさなきゃならないのも分かってる。
分かってるんだけども……。
ーーーー凄い緊張する。
火照る頬をパタパタと手で仰ぐと意を決し、「じゃあ」と言って彼のカッターシャツの一番上のボタンへと手を掛けた。
バクバクと尋常じゃないくらい大きな音をたてる心臓の音が頭に響く。
そんな私の頭上から再び彼の声が降ってきた。
「そういや、このサービス残業って何日するつもりだったわけ?」
「あー、この前もした所だから今日中に終わる予定だったんだけど……」
「仕事、増えたな」
そう。終わる筈が、コーヒーをぶちまけたせいでもう絶対終らない。
「明日も金木と会えるって事だよな。明日からまた俺の所に通えよ」
「は、……はい」
楽しそうな声音でそう言う彼に私はそう答えるしか選択肢はないのだ。
はっきり言ってここに来るのは好きじゃない。
でも、まあ。
ーーーー彼に会えるのは、良しとしよう。
擬人化 →過去資料ファイルNo.1(1→イチ)

