wish
「なんか昇かわったな」


「は?どこが?」


訝しげに誠を見ると、誠も誠で困ったような顔をした。


「どこ、って言われても困るんだけど…
なんていうか、雰囲気とか?」


にかっと笑った誠は、昇には少しまぶしかった。


「今のほうがいいと思うけど」


話しやすいし、と誠は続けて言った。


話しにくかったのか、

と昇は思い表情を少し暗くする。

それに気付いた誠が、


「宮内さんのおかげなんじゃないの?」


とフォローのように慌てて付け足した。

宮内、と聞いて、昇は教室の中をきょろきょろと見回す。


「そういえば、宮内まだ来てないな」


ぽつりとつぶやいた言葉に誠も教室を見回した。


「昇が早く来るのも珍しいけど、宮内さんが遅いなんて珍しいな」


誠も不思議そうに頭をかしげていた。


< 117 / 218 >

この作品をシェア

pagetop