wish

距離


次の日、昇は少し早めに学校に登校した。

誠に話を聞こうと思っていたからだ。

まだ誠の姿はなかったので、自分の席につき誠がくるのを待った。

しかし、なかなか誠が登校してこず、友香が先にやってきた。

「あれ、めずらしいね。どーしたの?」

と、昇の姿を見つけた友香が問い掛ける。

「ちょっと…あ、誠!!」

ちょうど教室に入ってきた誠に昇が呼び掛けると、
誠は一瞬体を強ばらせたように見えた。

「なぁ誠、河合に言ったのっておまえ?」

「…何を?」

「バイトの話だよ」

誠はあまり、こちらに視線をむけない。

いつもなら見てくるのに。

「俺じゃないけど?」

「…そ、か。変なこと聞いて悪かった」


誠は自分ではない、と言ったが、おそらく誠が言ったんだろうなと昇は思った。


そんな2人のやりとりを友香は不安げに見ていた。






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