夢が醒めなくて
一旦教室に戻り、担任の先生の言葉で解散。
卒業証書の入った筒を抱えて、啓也くんと教室を出た。
「施設の先生から聞いた。義人さん、俺をコンピューターの学校に行かせてくれるつもりやねんて。パソコンも提供してくれるらしい。……すごいヒトやな。」
「あー、うん。なんか、心配してた。ハッキング?啓也くんが捕まらへんように、ちゃんと勉強したほうがいいって。」
そう言うと、啓也くんは頭をかいた。
「やっぱりバレてたんや。義人さんがいじった後、アクセスできんくなったりしてたから、そうかなーとは思ってた。」
「……ヤバいこと、せんといてね。心配やから。」
そう言ったけど、啓也くんは苦笑してうなずくだけだった。
「卒業おめでとう。」
義人氏は、啓也くんには色とりどりのチューリップとカラーの花束を、私にはピンクの薔薇の花束をくれた。
「え?俺にも?……花より団子でいいのに。」
照れる啓也くんに義人さんは言った。
「来週、コンピューターを届けに行くよ。団子よりそっちのほうがいいやろ?」
啓也くんの瞳からぶわっと涙が溢れた。
びっくりした!
「希和ちゃんが引き取られたら、もう、疎遠になると思ってたのに……」
「おいおい。勝手に切らんといてーな。啓也くんも、照美ちゃんも……美幸ちゃんも、友達やろ?これからも。」
義人氏はそう言って、啓也くんを抱きしめた!
わーーーー!
啓也くんも、義人氏にしがみついて泣きじゃくった。
……何となく、疎外感というか、うらやましいというか……微妙な気分になった。
「由未お姉さんと恭匡さん、卒業式に来て下さってましたよね?」
車に乗ってから義人氏に確認した。
「あー、うん。希和が答辞を読むってお父さんが浮かれて恭匡さんにしゃべったみたいやな。」
「お父さんが?」
「うん。由未がびっくりしとったわ。俺らの学校行事には来たことなかったからな。」
え?
そうなの?
「まあ、忙しかったんやろけど……忙しいのは今もやしなあ。やっと人並みの父性を抱いたんかな?」
義人氏は、まるでそれまでのお父さんが人でなしのように言った。
驚いたことに、初対面の由未お姉さんも同じようなことを言った。
「希和子ちゃん、すごい!あの父が別人みたい。」
「……私は何も……。」
たまたまじゃないのかな。
お父さんが、これまでないがしろにしてきた家族に対する想いが、今の私への厚情になってる気がする。
「由未ちゃん。いきなりそんなこと言っても、希和子ちゃんが困ってるよ?……はじめまして。希和子ちゃん。これから僕のことも兄と思ってくれるとうれしいな。」
恭匡さんが、おっとりやわらかい声でそうご挨拶してくださった。
「ありがとうございます。希和子です。よろしくお願いします。」
眼鏡の奥の瞳の優しさが、何だか心に沁みた。
卒業証書の入った筒を抱えて、啓也くんと教室を出た。
「施設の先生から聞いた。義人さん、俺をコンピューターの学校に行かせてくれるつもりやねんて。パソコンも提供してくれるらしい。……すごいヒトやな。」
「あー、うん。なんか、心配してた。ハッキング?啓也くんが捕まらへんように、ちゃんと勉強したほうがいいって。」
そう言うと、啓也くんは頭をかいた。
「やっぱりバレてたんや。義人さんがいじった後、アクセスできんくなったりしてたから、そうかなーとは思ってた。」
「……ヤバいこと、せんといてね。心配やから。」
そう言ったけど、啓也くんは苦笑してうなずくだけだった。
「卒業おめでとう。」
義人氏は、啓也くんには色とりどりのチューリップとカラーの花束を、私にはピンクの薔薇の花束をくれた。
「え?俺にも?……花より団子でいいのに。」
照れる啓也くんに義人さんは言った。
「来週、コンピューターを届けに行くよ。団子よりそっちのほうがいいやろ?」
啓也くんの瞳からぶわっと涙が溢れた。
びっくりした!
「希和ちゃんが引き取られたら、もう、疎遠になると思ってたのに……」
「おいおい。勝手に切らんといてーな。啓也くんも、照美ちゃんも……美幸ちゃんも、友達やろ?これからも。」
義人氏はそう言って、啓也くんを抱きしめた!
わーーーー!
啓也くんも、義人氏にしがみついて泣きじゃくった。
……何となく、疎外感というか、うらやましいというか……微妙な気分になった。
「由未お姉さんと恭匡さん、卒業式に来て下さってましたよね?」
車に乗ってから義人氏に確認した。
「あー、うん。希和が答辞を読むってお父さんが浮かれて恭匡さんにしゃべったみたいやな。」
「お父さんが?」
「うん。由未がびっくりしとったわ。俺らの学校行事には来たことなかったからな。」
え?
そうなの?
「まあ、忙しかったんやろけど……忙しいのは今もやしなあ。やっと人並みの父性を抱いたんかな?」
義人氏は、まるでそれまでのお父さんが人でなしのように言った。
驚いたことに、初対面の由未お姉さんも同じようなことを言った。
「希和子ちゃん、すごい!あの父が別人みたい。」
「……私は何も……。」
たまたまじゃないのかな。
お父さんが、これまでないがしろにしてきた家族に対する想いが、今の私への厚情になってる気がする。
「由未ちゃん。いきなりそんなこと言っても、希和子ちゃんが困ってるよ?……はじめまして。希和子ちゃん。これから僕のことも兄と思ってくれるとうれしいな。」
恭匡さんが、おっとりやわらかい声でそうご挨拶してくださった。
「ありがとうございます。希和子です。よろしくお願いします。」
眼鏡の奥の瞳の優しさが、何だか心に沁みた。