朱色の悪魔

3


「朱音~!!!」

「親父っ突進してくんな!!!」

奥から弟くんの言葉通り突進して来た父親。

私をだっこしてる弟くんもびっくりだ。

うん、やっぱ賑やかだ。

久しぶりの華月組本家。まぁ、感覚で言えば2週間ぶりくらいなんだけどね。

でも、外出たら蝉鳴いてるし、くそ暑いし…。うん、2か月寝てたって言われてやっと実感したって感じ?

「朱音、ごめんな。よくやってくれたな」

「……組長が泣いちゃダメ」

「ッ!!」

あらま。さらに泣いちゃった。

どーしよ。とりあえず頭なでなでだね。こんなこと、他の組に見せれません。

とりあえず父親は落ち着いて、屋敷の中に招き入れてくれる。うわぁ、この迷路のような家久々だわ…。

そんな迷路を一切迷わず歩いて見せた父親は、組長の部屋の襖を開けて中に入る。

中には長男さんがなんかの書類見てたけど、私を見た途端表情が柔らかくなって書類は机にぽいされる。

「朱音、お帰り」

うーん。これは改まらない方がいいのかなぁ?でもなぁ、けじめはけじめだよね?

弟くんの腕とんとんして降ろしてもらって、なんとか正座。うぅ…関節が動きにくい…

「…ただいま戻りました。ご迷惑をおかけしました」

「構わん。お前を失わなくて済んでよかった」

父親…じゃなくて組長は…ん?どっちとしてだこれ?頭わしゃわしゃされてるけど…んー。まぁいっか。
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