朱色の悪魔
兄さんは朱音を撫でると微笑んで、いろいろ検査を始める。
「朱音、お帰りね。お疲れさま」
「ん…」
「お腹減ったでしょ。お粥食べようね」
「………………………」
問答無用の兄さんのセリフに朱音はぷくっと頬を膨らませて抗議する。
それは無視されて、兄さんは朱音の服を直すと抱き上げてベッドから朱音を持ち上げる。
「魁、抱っこしてあげて」
「分かった」
座ったまま朱音を受けとると兄さんは部屋を出ていく。膝の上で大人しく腕に収まってる朱音は体に力が入らないのか不服そうに不機嫌な顔してやがる。
「何が気にくわないんだ」
「………………ぺ」
「その口塞ぐぞこら」
舌出してんじゃねぇよ。
何が不服なのか朱音は頬を膨らませたまんまだ。兄さんが戻ってきて、お粥を食べるなりまた寝てしまった朱音は、カプセルではなくて、真っ白な部屋に移された。
壁も床も、ベッドもいすも何もかも真っ白な部屋。
その部屋のベッドに寝かされた朱音を撫でて、部屋を出る。
「1週間くらいしたら本家に連れて帰ろうね」
「分かった。親父に言っとく」
「お願いね」
兄さんと別れ、平出の運転する車で戻る。
やっと帰ってきた。遅すぎなんだよ。バカ…。