朱色の悪魔

「鍛える」

「は?なんで」

「歩けるよーに!」

「…なら、まだいけるようになるよな?」

ゾワワッて背筋に寒気が駆け抜けていった。

まだいける?冗談じゃない。死ぬ。

幸せな死因じゃなかって?ふざけるな。珍事として歴史に残ったらどうしてくれる。

やっぱやらないと伝えると舌打ちが返ってきた。あー、こわ。

弟くんは食卓のお部屋の襖を足で開ける。長男さんがくつろいでた。

「朱音、はよ」

「ん」

「お前、結構鳴くんだな」

「ッげほ!?」

ハレンチだ!!意地悪だ!!!

長男さんは確信犯で、ニヤニヤしてる。

「魁、ほどほどにしとけよ」

「加減できれば」

「風呂でやれ。逆上せるから加減できんだろ」

「やー!!!」

何いってんだぁ!!!そして、弟くんの目が怖いー!!!

うわーんっ長男さんがいじめる~っ!

「兄さん、何言ってるんですか」

っは!救世主っ!次男さん!!後光が差して見えるよっ!

次男さんは部屋に入ってくると、定位置のところに座って、弟くんを見る。

「魁、そんなにやりたいなら離れに行きな。あそこならこっちまで聞こえないから遠慮しなくていいし」

「あ、そか」

次男さんー!?!?

なんで!?止める雰囲気だったのにっ!何打開策出してるの!?

弟くんお目目が狼になってるよー!?

ジタバタして逃げようとするけど弟くんの手が離れないっ!

うえーん!みんな意地悪だぁ!!
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