朱色の悪魔

だけど、兄貴は唐突に朱音を拘束して、自由を奪った。

だから、俺も耐えきれなかった。当たるように無理矢理抱いた。

でも、そんな、すぐ朱音がこうなっちまうなんて、思うわけねぇだろ…。

無言でいると、留榎兄さんは勝手に話始める。

「兄さんが昨日朱音を止めたのは、朱音の時間が短いことを悟ったから。だから、外に行かないように薬も与えなかった。まぁ、今日のは完全に罰のつもりだったんだけど…」

砕いた錠剤は粉状になって、少量の水に溶かされた。

「まさか、朱音の症状がここまで進んでただなんて予想外だったんだ」

注射器に入れられた、何かを溶かした薬は朱音の腕から入れられる。

しばらくして朱音は苦しむことなくすやすや眠り始めた。

なんだ、薬で押さえられるのか…。

思わずほっとして肩の力を抜く。

「魁、今打ったの麻薬だよ」

「ッ…は?」

「もう、誤魔化せない。だから感覚自体を麻痺させてる。聞いたことあるよね。脳内麻薬とか」

「…じゃ、あ…朱音は!?」

「…」

「…ッ何でだよ!?なんで…」

「多分、先日の枦の一件で一気に進行したんだと思う。まさか、こんな薬飲んでるとは知らなかったけど…」
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