朱色の悪魔
「…寿命の話、兄さんから聞いたよね」
神哉兄貴に呼び出されたのは3週間前。
朱音が昼寝してから平出を通じて呼び出された。なにも言われず聞かされたのは盗聴レコードだった。
『…シュリ、お前もうすぐ死ぬ』
『…』
『動物実験で明らかになった。赤色の悪魔を宿した動物はどう足掻いても投与から平均で10年で命尽きた。お前は12年前に投与されたんだろ。なら…』
『残念。クロさん。正しくは14年』
『シュリ!!』
『あのさ、そんなどうでもいいことで取り乱さないでくれない?』
聞こえてきたのは、信じられないような言葉ばかりだった。
そんな中でも頭にリピートしたのは、朱音がもうすぐ死ぬと告げた男の声だった。
全部聞き終えて兄貴は口を開いた。
朱音の服や靴には発信器と盗聴器がつけられていて、常に監視状態にあったこと。
今朱音は、おそらく朱色の悪魔を作り出した研究員の居場所を探るために情報を買っていること。
その資金集めのために朱音は、体を売ってること。
何で止めないのか問い詰めた。だけど、返ってきた返事は完全に組のためで…。
気づかないふりをしろといわれても無理だった。
だから、家をわざと開ける時間が増えたし、Xに詰めてた。