朱色の悪魔

「…朱音、どうしたい?お前がここにいたいなら、そうすればいい。施設に行かなくてもいい」

「…長男さん、ありがとう。…でもね、私やっぱりあいつを野放しにしたまま逝けない。だから、ごめんなさい。長男さんの選択肢は、選べない」

こんな私を普通の女の子のような最後を選ばせようとしてくれてる。

それだけで十分だ。

長男さんはため息をついて、困ったような顔をする。

「…どうしても、なのか」

「…うん。このケリは私がつけるべきだと思うんだ。何十年後かもしれないけど、私みたいな子をあいつが生み出さないためにも」

「…俺は、お前を妹として見送りたいんだがな」

頭を撫でてくれる。長男さんになでなでされるのは久しぶり。

服をつかんだらぎゅってしてくれる。あったかいなぁ…。

えへへ。今日は大サービスだ。

「朱音、勝手に動くなよ。俺がちゃんと見届ける」

「…ん。約束」

「あぁ」

その時はまではいい子でいるね。

“朱音”でいるその時までは、きっと。
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