朱色の悪魔
「朱音?おい、朱音」
肩を揺さぶられる。目を覚ますと、心配そうな弟くんの顔が見える。
今、何時…?
「大丈夫か?」
「…ん」
身を起こす。
教室がガヤガヤしてる。朝見た担任が教卓にいる。鞄をもって教室を出る生徒。
あぁ、下校時間なんだ…。
そんなことをぼんやりした頭で確認する。
寝て、たんだ。
赤は静まったようだ。世界はきれいに色付いてる。
「歩けるか?」
「ん」
立ち上がる。荷物を鞄に入れた。肩にかけようとしたところを弟くんに取られた。
袖を握ると、弟くんは歩き出す。いつもよりずっと遅いスピードで。
その速度のまま学校を出る。駅に向かう道で、なんだか見たことある黒の高級車。
生徒たちは好奇な視線を向けながら、駅へ向かう。
運転席からスーツの男が飛び出した。