[ぎじプリ] 課長の瞳で凍死します
「いや……。
 それはあの、私が訊きたいことなんですけど。

 そもそも、何故、この間、私にキスしてきたりしたんですか」

 こんなことを言い出すなんて、やはり、夢ではなかったようだ。
 そう思い、問うてみた。

 考え込む課長に、
「実は私がずっと好きだったとか」
と言ってみたが、

「それはない」
とあっさり否定される。

 本当にこの人はもう、と思っていると、
「いや、あのとき、お前、珍しく俺に話しかけてきて、結構無礼な口をきいてたろう」
といっそ、一生知りたくなかった事実を教えてくれる。

 酒の力って怖い……。

 言ってしまったことも怖いが、まるきり覚えていないこともまた怖かった。

「俺にあんな風に話しかけてくる女子社員は居ない」

 それで気になったんだ、と言ってくる。

「いや、近づいてきたから、キスするとか。
 あなた、狂犬ですか」
とうっかり言ってしまう。

「……お前、酔ってなくてもその口調なんだな」

 うう、しまった。
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