奪うなら心を全部受け止めて
「ジャーン。裸にバスローブなんてセクシーじゃない?パンツは履いてるけどね。って…。
……眠ってしまったか」
バキューン。バキューン。
DVD観ながら眠ったんだな。こんなに煩いのに。
一緒に観ようって言ってたのにな。
何時だ?10時ちょいか…。
微妙だな。起こしてもいいし。このまま寝かせてもいいし。
ソファーに身を預け、寝ている頭を肩に寄り掛からせた。
はぁ…。泣いてるし…。
どうせ、DVDの中身なんて観ちゃいないさ。
再生されてただけだ。紛らわせる為に。そうなんだろ?
…考えてたんだな、優朔の事。冷たい涙の跡に触れた。
はぁ、許された関係なんだから、こんな思い、しなくていいはずなのに…。
やはり、愛人という言葉も良くない…。んん…、辛い場面ばかり一緒に居るというのも、解っていても、上手く励ませないし。逆に…励ましてるって読まれてるし。
読まれてしまうのも仕方ない。わざとらしい馬鹿みたいな事しか言わないからな…。そんなことしかできない。
明日は休みだろうから、起こす事にした。
「佳織ちゃん?佳織ちゃん」
「…う、ん、…う〜ん」
「起きて〜。DVD観よう?」
「ん、…ん?…わっ、能さん」
「は〜い。ホスト、能だよ?どう?バスローブ姿」
「は、い?うわっ」
よく見たら…前が開けていて胸板が目の前にあった。
「はい…色っぽいです」
「だろ?あ、佳織ちゃん、お風呂どうぞ?…覗いたりしないから、どうぞ?」
「今の格好だと、説得力、あまりないですけど。…でも、入って来ます。
あ、私が観てたとこ迄観てください。続きは一緒に観ましょ?」
「はい、はい。銃撃シーン迄ね」
…泊まって帰るつもり?なんだよな、どうやら本気で。
そうなると…何だか良く解らんが…複雑だな。
朝、そこそこの時間には帰らせておいた方がいいだろうから、あまり夜更かしして共倒れにならないようにしないとな。