奪うなら心を全部受け止めて
「言うな…。ならないから。…初めっからカムフラージュじゃないか…ショウが発案したんだろ?今更、訳解んない事、言うなよな」
「…悪い。カムフラージュだ、カムフラージュ。そうだ。だけどさ…」
「…」
「…」
ピーッ。
ファウルを告げるホイッスル。イエローだな…。
試合形式のサッカーを無言で眺めた。
俺らは3年目のつき合いになるけど濃いつき合いだと思ってる。千の事、誰より俺は解っていると思ってる。
お前のつき合い方は、本当にカムフラージュの範囲内なのか?
とうに違ってるよなぁ…。
元々こんな関係性になる前から、お前の心の中には佳織ちゃんは入り込んでいたんだよ。
似てるって、変に意識させちまったしな、俺…入学式の日に。悪い事したよな。
今となっては…調子にのって…辛い役目までさせてしまってるし。
「なあ、千。もうそんなに意識して一緒に帰らなくても大丈夫じゃないか?
俺さ、…正直、寂しいんだよな。佳織ちゃんに取られたみたいでさ。軽い嫉妬?…ヤキモチかな。…千とずっと何しても一緒だったし。
ほら、腐れ縁も大概にしろってくらい、3年でも同じクラスになったし。
俺らはさ、離れられない間柄、縁なんだよな」
「…ショウ」
「何だ?」
「…腿に手を置くな。…テメエはキャバ嬢か…。俺をどうしたいんだ?口説いているのか?」
「つい」
「…ついって…何だ」
「気を引きたくて?」
「はぁ?…。ショウ、解ってる。…俺も好きだ」
「へ?せ、千?ま、待て。こんなところで、ちょ、ちょっと待てー」
ショウの上半身は横抱きにされ、上から千景の顔が迫っていた。