奪うなら心を全部受け止めて


「…ハハ。冗談だろ?焦んなよ、ショウのくせに。いつもお前がしてるような事じゃないか。
…まさか、ドキドキしたとか言うなよ?」

「いや…うっ、ドキドキしたさ。はぁ、ヤバかった。
攻めるのは慣れてるのに、実際迫られたらヤバいもんだな。…俺、千となら、…違う好きが芽生えそうかも、やっぱり」

「ば〜か。んなもん、芽生えさせんなよな。変な確信を持つな」

「解ってる…。ハハハ。やっぱこれだよな、これ。おもしれ~」

「…ま、好きって言うのは嘘じゃないさ。ドクが言ってたみたいにさ。…いい奴に巡り会えたと思ってるよ」

「千…。俺もだ」

ショウが抱き着きそうになったから、顔面に手をついて阻止してやった。

「止めろ。冗談でもこれ以上はレッドカードだ」


翔吾、お前には俺の気持ちバレてると思ってるよ。敢えて言わなくったってバレバレだよな。
作戦始める時から、俺より俺の気持ちに気がついていたしな。
俺はこれから…。
認めてしまった気持ちはどうしたらいいんだ…。行き場がない。

嘘だと前置きして、本気の告白を続けたらいいのか?…そんな…意味のない。
…いつになったって、本気で言ってるとは思われないだろう。
これもカムフラージュの一つなんだって。納得してドキドキされるだけだ。
それでも、言い続ければいいのか?…好きだって。伝わりもしないのに。

馬鹿みたいに。
先輩との寂しさを埋めるみたいな役目。
本気なのに何でもない振りをして、手を繋いで、時々軽く抱きしめてドキドキさせたりして。
カムフラージュだから許せよ、なんて言って。…惚けてキスしたりして。
何度も何度も繰り返せばいいのか?
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