奪うなら心を全部受け止めて
一日違えば、今日は私にとっては何でもない日。普段と同じ、休みで土曜日。
でも、大切な日。
こうして二人…この関係になって初めての私の誕生日。
当日は一緒に過ごせなかった。
急なゴルフだなんて。
何故、土曜の午前中、優朔が来られたのか詳しくは聞かない。松下さんが八方手を尽くして努力してくれた事は解っているから。
誰に聞かれても辻妻が合うように。
簡単に来られた訳じゃないと思う。
私に言える事は嘘偽りのない言葉だけ。
「優朔、有難う。大好き」
裸の優朔に腕をまわして抱き着いた。
「ん゙ー…そんなに好きなら…仕方ないなぁ。大丈夫か?」
もう…。言葉の意味は伝わっていると思う。だけどわざとからかう。私を困らせて喜んでいる。
昔からそう。部屋という空間は、優朔にとって最強のテリトリーなのだろうか。
「ん、もう…」
「違ったか?」
「違ったかも知れない。…でも、…違わないのもある」
「ん?なに?」
「大好き、優朔のこと」
「うん。佳織、俺もだ。…有難う。いつもごめんな…」
バレンタインも、優朔の誕生日もそうだった。
そして多分、この先のクリスマスも。
指輪を貰った私達のスタートの日も。
当日にはまともに祝えないと思う。
Anniversaryは気持ちで祝うモノ。
それはその日に限った事ではない。許された時間がその日になればいい。
なんでもない日が私と優朔の特別な日。
一緒に居られる時が大切な時間。
「優朔、食べたい」
「大丈夫か?」
「ケーキの事よ?」
「そうだよ?そのつもりで言ったけど?」
「……」
「…なんだ、本当は俺の事か?
いいぞ…いくらでも食べてくれて。さぁ、来い!」
んー、チュ。フフ。…どちらの意味にとるかは結局、優朔次第になるのよね…。
凄く溺愛されていると思う。
優朔の言葉、一つ一つを信じていればいい。