奪うなら心を全部受け止めて

・作戦の前に


「千景、この後、少し時間あるかな?話しておきたい事がある。
佳織、こんな日だから送って行きたいけど、千景と今後の事とか話しておきたいから、ごめんな」

「ううん、大丈夫。大事な事ですから」

「…うん。果林ちゃんと直人君。
二人が構わなければ、この後、佳織の事、頼みたいんだけどいいかな?出来れば送って貰えると…」

「はい!一緒に帰ります。大丈夫です。あ、中橋さんも、一緒に帰って貰えますか?」

「おい、果林…」

「だって、直人…。直人だけじゃ不安じゃん。
もしも待ち伏せとかされてたら、怖いじゃん…先輩の女子って」

「あー。それかぁ。何かされても女子には手あげられないもんなぁ。男なら殴り返すけど」

「おいおい、物騒な事言うなよ。
お〜し、このショウさんが一緒に帰るから大丈夫だ」

「いいですか?中橋さん」

「ああ。じゃあ、遅くならない方がいいから、帰るとするか。佳織ちゃんも風邪ひくといけないし」

「わぁ、良かった。じゃあ、佳織、帰ろ(キャッ)」

優朔に抱きしめられていた。

おぅー…。みんなで一斉に、見て見ぬ振り作戦、決行!だな。


「ごめんな佳織。気をつけて帰れよ?」

「…はい」

…。


優朔の腕の中から解放された。

「んんっ。ほいじゃぁあ。んんんっ。か、帰るとするか、か、果林ちゃん、直人君。
せ、千、じゃあな」

「佳織ちゃんも…ぼちぼちいいかな?」

「…あ、はい。…お願いします」

「じゃあな、ショウ、…ヘラヘラすんなよ。シャンとしろよ、シャンと」

「解ってるって」

「翔吾、頼むな」

「任せてください。ちゃんと送り届けますから」

…みんな、それぞれにドキドキしていた。
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