奪うなら心を全部受け止めて
あ。見つめあった。
「……優朔。あのね…」
「何?」
抱えるように立ち上がらせると、熱い眼差しで優朔の手が顔を包んだ。
「さっきまで松下さんが居て…」
「な、に?」
唇に視線が下りていくのが解った。触れた、…忙しなく食む。
「ぁ、ん、それで…ん、ん」
「なに?」
啄みながら上着を脱ぎ、ソファーに投げた。
綺麗な目が見つめて来た。
背中に腕を回した。
「優朔に…」
「な、に…」
チュ、チュと頬に口づけられ、あ、耳に口づけられた。
ネクタイを緩めた。首筋に唇が触れる。
「あっ、ん、…よろしくって、…言っといて…くれって…」
「……能の話はもういい…さっき下で会ったし。
…もう、…黙って佳織…ん」
頬に手を当てられたかと思うと、ヒョイっと軽々持ち上げられた。
「え?キャッ、優朔?」
んーー、チュッ。
「はぁ、もう、限界って言っただろ?能、能、煩い。あいつのことはもういい。限界の限界なんだけど、……お姫様。
一心不乱に仕事だけに目を向け、ブロンド美女の誘惑にも負けなかった俺に、そろそろご褒美を頂きたい。もう目の前の佳織に夢中なんだ…」
「優朔…」
「丸ごと欲しいんだ…。早く…、佳織に触れたい…」
腕を回す私の額に頬に、キスを落とし続ける。
甘い…凄く甘い。色っぽい。優朔って、こんな事、言える人だっけ?
いくら離れていたからって…こんなになっちゃう?どっちかというと真面目で堅そうな感じだったのに。
さては、…誘惑に負けなかったって嘘かも知れない…。色々経験したのかも。
「ん?どうした?何か疑ってる?そんな顔してるんだけど?ん?」
「うん…、何だか、…ストレートな表現が上手くなったなとは思ってる…凄く甘いんだもん」
「そう?長く外国に居れば、多少は言葉の表現も色々感化されるよ。その国のやり方があるからね。郷に入っては郷に従え、的な?それに正真正銘、もう本当の意味でも大人の年齢になったんだから、昔とは違って当たり前。成長の証?」
「…ヤり方?」
「佳織、やり方って…そこだけ取り上げるな。言葉の綾だよ、綾。
変な風に取っちゃ駄目だ。ビジネスにも必要な事もあるんだ。駆け引きだよ。
相変わらず可愛らしいなぁ。ありもしないモノに妬いてる?」
…何だか丸め込まれた気がする…。それに私だって、もう年齢なりの立派な大人よ?子供扱いし過ぎだと思う。
「ほらほら。良からぬことを考えてるから、折角の美人が台なしだ。眉間にシワなんて寄せない。
はい、到着…」
大きなベッド…。そっと下ろされた。
「お姫様?もう、話はおしまいですよ。…違う声を沢山聞かせて…朝まで離さないから」
上に被さり両手を着いた。情熱的な瞳に囚われた。…圧倒される。はぁ、…心臓、持つかな。ハンパない色気が漏れてる。あんな話するから…、こんな甘い言葉にも何だか冷静になってる?
絶対ブロンド美女に誘惑されてる事は間違いない…、優朔…。