奪うなら心を全部受け止めて
脱げかけのワンピースも下着も、一緒に取り去られた…。
…ホントに素早くて器用なんだけど…。あ。
考える余裕は直ぐなくなった。体中に口づけが降る。唇が触れる度、刺激に短く声が洩れてしまう。
「はぁ…、もうダメ、優朔…」
身体が熱を帯びて…息があがる。
「…まだ、…まだだよ、佳織…」
あ、耳元で囁かれる声にさえ身体が反応する。
この声…好き。もっと聞きたい。優朔しか知らない私の身体。優朔を覚えている身体が、優朔を求めている。
「優朔、…好き。…好き」
腕を回して抱きしめた。少し汗ばんだ肌が吸い付くように密着する。…もう…離れたくない。
「はぁ、佳織…。ずっとこうしたかった。離れている間、どれだけ…佳織に触れたかったか」
唇を求めながら互いに強く抱きしめ合う。
「佳織、離さない。…ずっと離さない…佳織」
「ん……私も、離れない…から」
「佳織…」
唇が、手が、翻弄していく。囚われる。
「あ…、ゃ、…優朔、もう…」
「はぁ…、駄目だ。そんな顔…。駄目だ、佳織…。逆効果だ…。堪らない、…逃がさない」
愛しくて堪らない。佳織。しがみついてくる佳織が愛しくて、可愛くて、…何度も何度も抱いた。止められるはずがないだろ。
眠ってしまった佳織を抱きしめたまま、手を伸ばし、脱ぎ捨てたスーツのパンツを何とか引き寄せた。ポケットを探る。…あった。
佳織の左手、薬指にそれをそっと嵌めた。
指輪に唇で触れ、佳織の唇に口づけた。
これは佳織と俺の二人で一つの指輪。…唯一無二のモノ。
佳織…俺は結婚してもマリッジリングはしない。するのは明日の式、形式上の一度きりだ。…儀式だとはいえ、嵌めてしまうこと許してくれ…ごめんな。
好きだ、佳織。気持ちを伝え続ける事しか出来ない俺を許してくれ。こうして、ここで会う事しか出来ない俺を許してくれ。一生の我が儘だ。
……佳織…、愛しくて堪らない…。会いたくて堪らなかった。
「好きだよ、佳織。…大好きだ」