それが伝え方なのです
◇指先、脛
ミーンミンミンミーン、と蝉が鳴く季節になって、本格的な夏が訪れていた。
「あっつーい!!」
うん、本当に夏が…
「ほんと暑いわ」
夏が……
「もうっ、早くクーラー直ればいいのにぃ」
なつ、が………
「ちょっと弥生。あんた生きてる?」
「やっちゃんさっきからすんごい悟った顔してるよ?大丈夫?」
さっきから黙っているわたしにさーやんとゆーみんが心配そうにわたしを見る。
「うん、平気、だいじょーぶ」
へらりと笑ってみるけど逆効果でさらに心配されてしまった。本当に大丈夫なのに。
「でも確かに暑いよね」
パタパタと手で仰いではみるもののあんまり風はこない。
まぁここの空気が生ぬるいからきたとしても涼しくはないんだろうけど。
「地球温暖化のせいかしら」
「やだよねぇ、冬は着込めばあったかいけど夏は脱げるのに限界あるもん」
うーっと机の上にだらけるゆーみんに確かにそうだなと苦笑する。冬はカイロもあるしね。