摩訶不思議目録2
「まあ、お母様のところっていうのは嘘ですが、とある方のもとまで行きます。ついでにお母様に会えるといいですね。」
師匠は何気なく答えるが、ツッコミ所がおおくて僕は黙り込んだ。
「帰りたくないなら帰らなくてもいいと思いますが、責任は持てませんよ。」
「で、でも...僕遠くに行くまでの準備もないし...。」
「ちょっとした旅とでも思えばいいです。準備は移動中に済ませてしまえば問題ありません。金銭面は御両親にお願いしなさい。行きたくないのであれば家まで送りますが。」
師匠は投げやりなことを言う。
「い、行きたいけど...。」
僕が戸惑うと師匠は言った。
「ここ最近、本来いるはずのない妖怪が現れています。そのうち大きな妖怪が現れてはいけません。そして、その原因は幻想の国と東の国の間の仕切りのような物が壊れたと推測します。
つまり、その仕切りを治せる神や、事情のわかる妖怪に話を聞きにいくのです。」
「でも、なんで師匠が行くの?」
「全国にそういった任務をもった妖怪や人間がいるのです。」
「師匠は結局妖怪なの?人間?」
「どちらとも言えません。」
「なんで僕もついていくの?」
「付添の人間が必要だからです。妖怪ならば人間の付添人。人間ならば妖怪の付添人。」
それから僕はいくつか質問をしたが、どれも僕が行かないという選択肢はないようだった。
まあ、僕自身好奇心で行きたいという気持ちは大きかったから別に嫌ではないのだが。
あまりに突然すぎてどうしていいかがわからなかった。
< 21 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop