摩訶不思議目録2
トンネルを抜けて
さとりが消えてから、僕と師匠は森の中を突き進んでいった。土と草の匂いが嫌になって来たとき、目の前に古びたトンネルがあった。
「このトンネルがどうかしたの?」
僕が師匠に聞くと、なにも答えず師匠は先の見えないトンネルに入っていった。僕も後をおってトンネルに入る。
ひんやりした空気、背後に感じる何か、時折滴れる水滴がなんだか恐ろしい。
いくら妖怪がいるとはいえ、正体不明の物は誰だって怖いもんだろう。
「もう着くはずですよ。」
師匠は言うが、話の割にはあっさりついたのが不思議だった。
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