すきだから
その時。

「ちょっと!なにやってんのよ!!」



そう言いながら駆け寄ってきたのは鬼の形相をした陽菜だ。
陽菜の登場にホッとする反面、その表情に恐怖を覚える。

陽菜は私と女共の間に割って入ると、女共に睨みをきかせながら言い返した。

「何よ!関係ないでしょ!?部外者は引っ込んでて!!」

「私は香苗の親友よ!アンタ達こそ寄ってたかって!!」

おののく私をよそに、陽菜と取り巻きの女共は互いに睨み合う。
そして陽菜は追い打ちを掛けるように口撃を続けた。


「そんなに悔しかったら千歳に告ってみなさいよ!そんな勇気もない癖に、よってたかって香苗に当たるなんて幼稚もいいところだわ!!大体香苗がブスって、アンタ達の顔もちゃんと鏡で見た事あんの?アンタらも大概よ!」

「なっ・・・!!」

「ブスな顔が、嫉妬心むき出しで更にブッサイクになってるわよ!そんなんだから千歳に見向きもされないの、いい加減分かりなさいよ!」

「・・・っっ!!」


陽菜の怒涛の反撃に何も言えなくなった女共は、顔を真っ赤にしてその場から足早に去っていく。

女共が去って2人きりになると、陽菜は、はぁ、と大きなため息をついて、私の方を向いた。
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