すきだから

「下駄箱の前で神妙な顔しながら手紙を読んでいる香苗が妙に心配になって、香苗を探して見つけたらこんな事になってるし・・・。てか、アンタもちゃんと反論しなさいよ」

「ゴメン、助けてくれて。いや、心の中では反論してたんだけど、ほら、その争い事は好まないっていうか・・・。相手が群をなしていたら勝てないって」

「平和主義も、時には仇になる事もあるのよ。どこかでガツンとやらなきゃエスカレートしていくだけ。もっと辛い目に合うかもしれないのに」

「そうだね・・・。肝に銘じておきます・・・」

元はと言えば、千歳が人のいる前であんな事を言ったのが悪いわけで。
なぜ私がこんな目に合わなければならないのか、どうしても納得が出来ない。



「あー・・・最悪。本当いい事ないわ」

そう言うと、私は空を見上げた。
空は陽が傾きつつあって、徐々にオレンジ色に染まっている。

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