すきだから
本音は私をからかう為の告白だと思っていた。
雄太と別れたから、面白半分でああ言ったのだと思ったのよ。


だって、普通はそう思うじゃん。

なんの取柄もない私に、学年一モテる男が告白するなんてシチュエーションは、漫画の世界でしかないと思っていたから。

どんだけ王道の少女漫画よ。
定番もいいところじゃない。

でもまさかそんな話が降りかかって来るなんて思ってもみなくて。
そんなに真剣な顔されたら、私も真剣に考えなくちゃならない。

「・・・・分かった。分かったから手を離して」

「離しても逃げない?」

「逃げないよ。逃げたら何されるか分かんないじゃん」

その言葉で千歳はゆっくりと私の手を解放する。
今まで熱を帯びていた手に、冷たい空気が当たる。
思わず握られていた手を、もう片方の手で覆った。

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