すきだから
「香苗ちゃん、俺達はもっとお互いの事を知るべきだよね」

「・・・は?いいよ。知る必要なんてない。だって私言ったじゃん、付き合う気ないって。アンタの事好きじゃないから」

「俺の事知りもしないで結論を出さないでって言ったよね?少しは努力する事も大事なんじゃないかな。そんなんで俺が諦められると思う?」

「諦められると思う?って、諦めてくれない?なんで私が千歳を知る為に努力しなきゃならないのよ」

「それは俺の事を好きになって欲しいからだよ。俺がどんな思いで香苗にああ言ったか分かる?生半可な気持ちで言ったんじゃないよ、真剣なんだよ。それを彼氏を作る気がないっていう理由だけで終わらせて欲しくないんだ」

いつになく千歳の表情は真剣だった。
その表情に私の心は高鳴る。

「ちゃんと俺の事見てよ。俺の事を知ってもまだ好きになれないのなら、その時は諦める。だから直ぐに答えを出すのだけはやめてくれ」

千歳の瞳が情熱的に私を見つめている。
その瞳から私を想う気持ちは嘘ではないんだ、と知る。

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