すきだから

千歳はその後教科書に目を落とすと、「勉強、再開しようか」と言った。

私も頭を切り替えて、また教科書とにらめっこをする。

そのまま夕方陽が暮れるまで、勉強は続いた。
集中しながらも、頭の中では千歳の言葉がぐるぐると繰り返される。


私は、自分自身に自信を持てるのだろうか。
自信が持てた時、何か変わるんだろうか。


今考えても、その答えは出てはこない。




けれど、千歳がそう言うなら。

素直にそうなれるように、努力してみてもいいのかな、と思える。


千歳の言葉で、少し救われたような気がした。
< 49 / 87 >

この作品をシェア

pagetop