すきだから
千歳は相変わらず人を試すような、意地悪な笑みを浮かべて私を見ていた。
私は顔を真っ赤にしながら答える。

「あっ、当たり前でしょ!まだ友達なんだからっっ!!」

「これを機に考えるとかはない?クリスマスまでに彼氏にしてくれたら、色々してあげるけど」

「まだないっ!!何その色々してあげるって!怖いんだけど!!」

「あはは、言うと思った~。うそうそ、まだ焦んなくていいからね~。よしよし、クリスマスのスケジュール決まり!楽しみだなぁ」

千歳は鼻歌交じりに、そう言って歩く。

全く人をからかって!
千歳みたいに余裕で振舞えないんだから、勘弁してよねもう!

・・・と思いつつ、この千歳とのやり取りも嫌じゃなくなっていたりして。
ううん、むしろ。

むしろ、この感じ、とても居心地が良かったりして・・・。

「どうしたの?香苗ちゃん」

「なーんでもないよーだっ!行こ!」

この気持ちの変化は、まだ千歳には内緒。
今はまだこのままがいい。


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