すきだから
目の前の雄太の目が大きく開く。
「え?・・・い、いいの?」
「うん。いいよ、別れよ。じゃ」
自分から別れる言葉を言った癖に、ヤツは明らかに動揺していた。
そんな雄太に私は最後の言葉を言うと、くるりと後ろを向いて屋上の扉へと向かった。
久しぶりに雄太から呼ばれて、話した内容は別れ話。
もっと辛い思いをするのかと思ったけれど、そんなことはなくて変にスッキリしていた。
「あんなに好きだったのに・・・・」
屋上からの階段を下りながら、そうぼそりと呟いた。
なぜか雄太に言われた別れ話よりも、自分の気持ちの変わりの早さに戸惑っていて。
その日はその事で授業が頭に入ってこなかった。