すきだから
「・・・はっ・・!お前が香苗に別れるように言ったんだろ?俺と上手く行ってない事をいいことに、いいように言って香苗を惑わせたんだな?だから香苗は・・・」

この期に及んでも、雄太はまだそんな未練がましい台詞を吐く。

その言葉に千歳は怒りの頂点に達したのか、ガン!!と、千歳は傍にあったバケツを蹴り倒した。

大きな音と共に、バケツは雄太の脚に命中した。

「ゴチャゴチャうるせえ奴だな。そんなんだから香苗に飽きられるんだよ、いい加減分かれ馬鹿野郎。香苗に気持ちが無くなったのも、お前の浅はかな行動のせいだよ!」

「お前に何が分かる!!」

「分かりたくもねえよ、お前の事なんか。ここまで香苗を追い詰めて面白いか?ますます嫌われるだけだ。もう諦めろよ。どんなに後悔したって、もう香苗の気持ちはお前には戻って来ねえよ」

信じられない、というような表情を浮かべて雄太は私を見た。
私は思わず千歳の服をぎゅっと握りしめて、目線を逸らす。

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