すきだから
千歳の言う通り、もう私には雄太に対する想いはこれっぽっちも残ってない。


・・・ごめん、ゴメン雄太。

雄太との事は、あの時で既に終わってるの。
前の気持ちに戻る事はもう、ない。


私の態度を目の当たりにして、雄太は何かを悟ったようだ。
先程の勢いは何処へやら、大人しくなってその場に立ち尽くしている。

「・・・香苗は連れて行く。今度香苗に何かしたら、その時は容赦しねえからな」

動かない雄太を横目に、千歳はそう言うと私を連れてその場から離れた。
千歳は私を抱えるようにしながら、ゆっくりと歩く。

触れる部分が熱い。
鼓動も自然と早くなる。
千歳に気付かれていないだろうか。

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