片道のRe:
「タケト!」


リノが駆け寄ったその先には、頭ひとつ出た、背の高い人。


「リノも選ばれたのか!」


ジャージの左胸には“城崎”の文字。


「――ッ!」


ドンッと鼓動の第一波が押し寄せて、一気に遡る血流。

――どうしよう。
心臓の音が煩くて、二人が何を話しているのか全く耳に入ってこない。

遠くから眺めているだけで幸せだった先輩が、今、目の前に……。


「ワカ!」


リノの声に、びくっと肩が震えた。

右に左に視線を泳がせる私に、リノは大袈裟に手を振って手招くと、にやりと口元を歪ませる。

私は拳をグッと握り締め、一歩、前に踏み出した。

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