片道のRe:
「タケト、この子は私の友達の野々山若菜! 100mに出るよ!」

「野々山さん、よろしく。200mに出る2年の城崎岳人です」

「あ、よ、よろしくお願いします!」


勢い良く頭を下げて、そのまま視線は上げられなかった。

“野々山さん”
先輩が、私の名前を呼んだ。

たったそれだけのことなのに、今にも心臓がはち切れそうだ。


「タケト、確か去年は100mに出たんだよね。ワカに色々教えてあげてね?」

「もちろん。野々山さん、分からないことがあったら何でも聞いて」

「あっ、ありがとうございます……!」


なんて優しい笑顔だろう。

初めて間近に見る先輩は、遠目で見るより何倍も増してカッコイイ。

奥二重の目、短い前髪、ゴツゴツした喉元。
全てが先輩の一部なのだと思うと、視界に入れることすら出来なくなって、無意味につま先で砂をいじってやり過ごした。

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