片道のRe:
涙が溢れた。
単純に試合に負けたことが悔しかったこともあるけれど、何よりも先輩の『楽しみにしてる』が嬉しかった。

来年、先輩に『関東大会決まりました』と報告する。
その目標が出来ただけで、これから訪れるであろうどんなに辛い練習にだって、耐えられる気がした。


私はテニス部の新部長に任命され、勉強が疎かになるほど練習に没頭する。

7月、8月、9月。

腕に、肩に、背中に、脚に、どんどん筋肉が付いていった。

まめが潰れた手のひらは固くなり、日焼け止めを塗ることを禁じられた肌は、コートの土にも負けないほどに黒くなった。


いつか思い描いた理想の姿は遠のくばかり。
けれどもう、そんなことはどうでもよかった。

私には、関東大会に出場するという目標がある。

その為なら、女なんか喜んで捨ててやるとまで思うようになっていた。

< 43 / 73 >

この作品をシェア

pagetop