片道のRe:
降りてくる集団の中から、頭ひとつ出た背の高い人。

目が奪われたのは、きっと自然な現象なのだけれど。


「こんにちは」


返された笑顔に歩みが緩み、すれ違う横顔を目で追った。


その人が視界から消えても尚、私は少しも動けない。

たった一瞬で、心臓まるっと持っていかれた。


「ワカ、どーした?」

「……今、超かっこいい人がいた」

「え!? うそ、誰、どの人!?」

「一番後ろ歩いてた人。名前は……」


“城崎”

ファスナーの横、左胸に、マジックで書かれた無骨な文字を無意識のうちに追っていた。

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