キミへ
押し返された俺の目にはもう
さっきまでのマヤの笑顔はなかった。



その瞬間俺は我に返る。



「わりっ、つい…」



俺はなんてことをしたんだ。



勝手に寄ってくるそこらの女とは
違うのに何やってんだ…。



「ごめん」



マヤはそう囁くと走って俺の視界から
姿を消してしまった。



俺にはそんなあいつを追いかける
気力も資格もなかった。



最低だ…俺。



あいつには何をしても笑顔で
受け止めてくれる、



そう思ってしまっている自分がいたんだ。



でも…でも一つ引っかかる。



何かがおかしい。



『あたしもウソツキだから』



マヤの言葉を思い出す。
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