キミへ
「おい、彼氏に見つか…」



一言叱ってやろうと思い、開いたドアの方を
見ると知らない女が立っていた。



俺はしまった、と思い慌てて詫びを入れた。



「わりっ!人違いだった!
んでここになんか用?」




俺のファンかなんかだろうか。




「調べもの!キミは何してんの?」




ショートヘアにぱっちりとした目、
それからはきはきとした明るさ。




確実に可愛い分類に入るだろう。




「俺はサボり~。地理嫌いでさ~」




女はそれを聞きながら文献資料のある
棚の方へと歩いて行った。




静かな図書室ではどこにいても
普通の音量で話せば声は通る。



「あははっ、あたしも。国語系と社会系って
なんかやる気でないよね」
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