「……」


「……」


重い空気………。

壁にかかった、派手なキャラクターの時計の音が、やけに耳につく。


真奈美は、近くにあった黄色の熊のぬいぐるみを触っていて口には出さないが、あたしがこうなった原因を聞きたそう……。



「…海でさ…ナンパ…されたじゃん…?」


「うん…」


………。

「原因は…それなんだけどさ…。」


「はぁ?!」


真奈美は信じられない、という顔。
黄色の熊のぬいぐるみを抱いている力が強くなって、熊が苦しそうだ。


「歩が男にナンパされたから…怒ったの…?」


「…うん…。」


「歩はなんも悪くないじゃん…!」


「あたしが色目つかったって……」


真奈美の顔色がみるみる変わる。


「なにそれ…っ!歩は自分が悪いと思ってるの?!」

熊はもう投げ出されて、真奈美の両手があたしの肩にかかった。


「……達也にそう思わせたんなら…あたしが悪いよ…。」


一瞬、真奈美の手に力が入って、肩が痛かった。

真奈美は、色々言いたそうだけど…


全部をまとめて、一言言った。



あたしにとって一番辛い事を……





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