掌
ピンポーン
カチャ『はい。』
「歩です…。」
『開いてる。』カチャ
なぜか敬語になってしまうのは、インターホンからする達也の声が、あたしをますます不安にさせたから……。
「おじゃまします…。」
やっぱりお母さんはいなくて、達也は自分の部屋で、いつものベッドに寝そべっていた。
「…達也…?」
達也は天井を瞬きもせず、見つめたまま。
怒っているのか、悲しんでいるのか、それとも何とも思ってないのか……
無表情の顔からは、達也が何を考えているのか分からない。
そんな表情のまま
「歩ぃ……」
達也が呟いた。
「なぁに?」
あたしは、不安を笑顔で隠すのに必死。
「俺と別れたいの…?」
眉一つ動かさずに、想像もしなかった事を達也が言った……。